第4章.
概略設計
4−1.骨格案の検討
1)
骨格道路の検討
市全体の道路体系との整合性や、
本地区の土地利用計画に留意し、
「牧港補給地区跡地利用
基本計画策定基礎調査業務報告書(平成
23
年
3
月)
」による道路の分類や機能、将来交通
量推計結果に基づき、以下のとおり骨格道路の幾何構造を設定するとともに、地形条件等を
踏まえて線形を検討した。
なお、幹線道路 1 号(浦添都市軸)については、将来の鉄軌道を含む新たな公共交通導入
の可能性も加味し、幅員を 40m で設定した。
図表
H42 交通量推計結果
道路名
交通量(台/日)
幹線道路1号
11,200∼15,400
幹線道路2号
11,800∼12,800
幹線道路3・4号
6,300∼12,900
幹線道路5号
4,700∼10,400
補助幹線道路1号
400∼1,200
補助幹線道路2号
1,100
補助幹線道路3号
3,800
補助幹線道路4号
1,000∼1,300
補助幹線道路5号
500∼3,300
補助幹線道路6号
300
図表
骨格道路の線形コントロール条件
急勾配区間
急勾配区間
急勾配区間
急勾配区間
交差点間 280m
交差点間 280m
現況交差点
現況交差点
現況交差点
現況交差点
下水道施設
地区外民間施設
現況交差点
現況交差点
計画済交差点
2)
主要な公園緑地の検討
第 2 章における園緑地の検討結果に基づき、
基本計画の各コンセプトにおける公園緑地の
配置方針を以下に示す。
①
「発展・交流のまちづくり」の視点に基づく主要な公園緑地の配置方針
発展・交流のまちづくりの視点では、各拠点における滞留空間としての公園緑地を配置
するとともに、産業振興地区においては、来訪者等の人の動線確保と交流促進のため、に
ぎわい・交流軸に沿った帯状公園を配置する。
帯状公園の配置パターンとしては、次頁のように車道の中央や外側両面、外側片面、及
び中央で公園と車道の間に宅地を挟む場合の 4 パターンが考えられ、
沿道の土地利用やに
ぎわい・交流の促進効果、周辺施設へのアクセスや連携等を考慮して配置することが必要
であるが、
海の交流拠点における公園緑地や文化交流拠点における公園緑地とのアクセス、
さらに、西海岸地域を含めた広域からの来訪者の回遊性向上を考慮すると、B
案に基づき
にぎわい・交流軸の西側に帯状公園を配置することが望ましい。
図
にぎわい・交流軸に沿った帯状公園の配置パターン
<A 案>
<B 案>
<C 案>
<D 案>
②
「防災のまちづくり」の視点に基づく主要な公園緑地の配置方針
防災のまちづくりの視点では、海の交流拠点において多重防御の一つとしての機能を担
う公園緑地を配置し、防潮林を整備する、また、避難路・避難地としての機能を担う公園
緑地として、高台部一帯に一次避難地となる公園緑地を配置する。
さらに、浦添都市軸は「沖縄県緊急輸送道路ネットワーク計画」において第2次緊急輸
送道路として位置づけられており、災害からの復旧・復興活動の動線確保のうえで重要な
役割を担うことから、災害後の復旧・復興活動の支援拠点としての機能を担う公園緑地を
浦添都市軸上に配置することが望まれる。
図表
「防災のまちづくり」の視点に基づく公園緑地の配置方針図
③
「自然環境に配慮したまちづくり」の視点に基づく主要な公園緑地の配置方針
自然環境に配慮したまちづくりの視点では、地区内に残された既存の緑地や自然環境を
保全・活用し、緑のネットワークを形成するよう公園緑地を配置することが望ましい。
これを踏まえ、海の交流拠点や斜面地部分に残る既存の植生等を保全活用した公園緑地
を配置するとともに、西海岸地域の公園緑地計画との整合性に留意した公園緑地を配置す
る。さらに、地区南側の小湾川沿いの緑地や地区北側の既存緑地との連続性を考慮し、斜
面地部分一体に公園緑地を配置して緑のネットワークを形成する。
④
基本計画における主要な公園緑地の配置
基本計画では、
「発展・交流」
「防災」
「自然環境」の
3
つのコンセプトの
1 つに特化す
るのではなく、
「発展・交流」を重視しつつ、
「防災」や「自然環境」にも留意したまちづ
くりを推進するため、以下のとおり主要な公園緑地を配置する。
・海の交流拠点における公園緑地(約 17.2ha)
:健康・医療産業地区や西海岸地区のビーチリゾートと一体となって、自然とのふれあ
いや健康、レジャー等をテーマとした交流の促進を図る空間としての公園緑地(当該
公園は海岸に面することから、
津波
・
高潮災害等に対する多重防御機能の役割も担う。
また、地区外のカーミージー地区との連携も図る。
)
・複合交流拠点における公園緑地(約 0.5ha)
:東西及び南北のにぎわい・交流軸の交差部において、地区内を回遊する人々だけでな
く、沖縄西海岸道路や公共交通等を通じた広域からの来訪者も含めた人々のにぎわい
や交流の促進を図る空間としての公園緑地
・文化交流拠点における公園緑地(約 4.6ha)
:国立劇場おきなわと連携した、主として文化を通じた交流の促進を図る空間としての
公園緑地
・暮らしの交流拠点における公園緑地(約 0.4ha)
:計画されている交通広場と一体となって、人々の滞留や交流の促進を図る空間として
の公園緑地
・南北のにぎわい・交流軸に沿った公園緑地(約 4.0ha)
:3
つの産業地区を繋ぎ、来訪者が安全・快適に回遊、休憩することができ、さらにイ
ベント等による交流の促進を図る空間としての帯状の公園緑地(なお、帯状公園は、
産業振興地区における沿道の効率的な土地利用に留意し、道路の中央部に配置する。
)
・避難路・避難地としての機能を担う公園緑地(合計約 19.6ha)
:高台部と低地部の境界部分(高台端部)には、災害時の一次避難地や避難路となる空
間としての公園緑地を配置するとともに、園内には低地部から高台部への避難路を確
保する。
・既存の緑の保全・活用に留意した公園緑地
3) 主要な排水路の検討
「牧港補給地区跡地利用基本計画策定基礎調査業務報告書(平成
23
年
3
月)
」による基
本条件の確認を行い、街区や幹線・支線道路、公園・緑地等の配置条件に整合した検討を行
う。
①
周辺の下水道条件
本地区の雨水排水・汚水排水は、
「浦添市流域関連公共下水道事業計画」
の対象地域内で
あり、この計画の中で処理の基本計画が示されている。
図
地区周辺の幹線排水路・流域
汚水排水計画は、
「那覇処理区」にあり、<埠頭第1汚水排水幹線>に流下する。
雨水排水計画については、
「小湾川排水区」にあり、<小湾川>に流下する。
ただし、現況は大小多数の排水路により、直接海域に流下している。
②
排水計画の基本事項
排水計画にあたって、汚水排水及び幹線雨水排水は、公共下水道事業として整備を行う
ものとして、支線検討は主に基礎調査時の流域や排水ルートなど、排水処理施設計画の確
認を行うものとする。
4−2.支線案の検討
1) 支線道路の検討
骨格(幹線)道路、骨格施設との接続や連続性、及び土地利用計画との整合を図り、支線道
路の検討を行う。
①
支線道路の配置条件
基本計画を基に、支線道路はその配置するエリアや土地利用形態によって、また、地区
全体の交通処理について骨格道路を補完できるように配置するものとする。
以下に、必要な支線の種類とその役割について示す。
また、次頁にその道路の基本幾何構造等について示す。
・主要区画道路
<住宅地区>
発生集中交通を円滑に補助幹線道路に導くとともに、歩行者等の安全な通行を確保す
る。
<産業振興地区><商業業務地区>
にぎわい空間としての機能を考慮し、歩行者等の交通量に応じた歩道幅員を確保する
とともに、植樹帯を確保した断面構成とする。
・区画道路
住宅地区内において、通過交通の進入抑制や走行速度の抑制を図るため、T
字交差の
を基本パターンとして配置するものとする。
・特殊道路
2) 造成計画の検討
土地利用計画、道路計画、排水計画のほか、残すべき緑地等との整合を図り、地区の宅地
造成設計を行った。
①
造成基本方針の決定
宅地造成は周辺の道路より低くならないようにするものとし、接道する道路より
0.1m
∼0.5m 程度となるように造成高さを決定する。
②
造成土量の算定
造成基本方針に従い、事業収支を検討するために、地区の造成土量の算定を行う。
造成土量は下図に示す地区の断面毎に造成断面を設定し、切土・盛土を平均断面法で算
出する。
図
造成計画高図(造成断面位置)
③
土量算定結果
本地区全体としての造成土量の算出結果は、
盛土約 263 万
㎥
、
切土約 100 万
㎥
となり、
土量収支は約 163 万
㎥
(盛土の圧密量約 1 割を加味すると 192 万
㎥
)
の不足土となる。
土地区画整理事業の実施により、宅地としての有効な土地利用を図るため、比較的平坦で
道路計画高よりも高い宅盤高を設定する必要があることから盛土量が多くなっている。
3) 排水施設の検討
事業収支を検討するため、地区の排水施設の設計を行う。
①
下水道計画諸元
「浦添市流域関連公共下水道事業計画」に従い、以下のように条件を設定したうえで雨
水排水計画を行う。
○計画雨水排水量の算定
合理式による。
Q=
1/360×C×I×A
ここに、Q:
最大計画雨水流出量(m
3
/sec)
C:
流出係数(公共下水道計画より)
0.55(小湾川排水区)
I:
降雨強度 (mm/hr)
:10 年確率
(下水道認可申請書より)
I=
8836/(t + 50)
t=t1(流入時間)+t2(流下時間)
□流入時間
(公共下水道計画より)
t1=7min
□流下時間
(公共下水道計画より)
t2=L/(V・60)=
L/(3.0×60)
○計画断面の算定
計画断面の算定はマニングの公式による。
V=1/n×R
2/3
×I
1/2